大阪星光2022年度大問2
1より大きい整数nに対して,次の(A)または(B)の操作を行います。
(A)nが奇数ならば,1を引いて2で割る。
(B)nが偶数ならば,2で割る。
(A)または(B)の結果が1より大きければ,(A)または(B)の操作を繰り返し,(A)または(B)の結果が1になれば操作を終了します。終了するまでに操作(A)をa回,操作(B)をb回おこなったとします。
例えば,n=10のとき,10→(B)→5→(A)→2→(B)→1(終了)なので,a=1,b=2となります。
⑴ n=56のとき,a=□,b=□です。
⑵ a=3,b=3となる最大の整数は□で,最小の整数は□です。
⑶ nは200より小さいとします。考えられるaの値として最も大きい数はa=□で,このときのnで最も大きい数はn=□です。
➤➤➤解説
⑴は当てはめるだけ
⑴ 56÷2=28…b,28÷2=14…b,14÷2=7…b,(7-1)÷2=3…a,(3-1)÷2=1…a
aは2回,bは3回なので,a=2,b=3です。
⑵は、とにかく調べてみよう
⑵ 1から始めて「逆算」でさかのぼっていきましょう。
a … もとの数を2倍して1をたす
b … もとの数を2倍する
このとき,早い段階でaの操作の逆をやった方が,元の数が大きくなります。
理由:2倍して1たした数を2倍すると,たした数も2倍することになり,より大きな結果になるから
ですから,(逆算で)先にaを固めておけば結果はより大きくなります。
1 → aaabbb → 最大
逆にaを後の方にまとめると結果は小さくなるのも分かりますよね。
1 → bbbaaa → 最小
分かりにくかったらいくつか実際に調べてみるといいでしょう。
さかのぼる部分がaaabbbのとき 1→3→7→15→30→60→120
さかのぼる部分がbbbaaaのとき 1→2→4→8→17→35→71
以上より,最大120,最小71となります。
⑶も考えて調べて正解にたどり着く
⑶ 1から始めてaだけでさかのぼっていくと
1→3→7→15→31→63→127
となりこれ以上操作すると200を超えてしまいます。よって6回が最大です。
200以下の整数で最大になるのは,途中で1度bの操作を加えたときですが,最初にbをやると 1→2→5→11→23→47→95→191 となってこれが最大なので,答えは191です。
数を扱う経験とセンスを試されている問題
この問題は、ややこしい比や割合、数の性質など、受験生が今まで頑張って取り組んできた様々な知識は一切使いません。1から始めて、「逆算」の考え方(それもかなり初歩的なもの)を使っていくだけで正解にたどり着けます。
こう書けば、非常に簡単な問題だと感じるかもしれません。実際、数に対するセンスがある受験生は、それほど苦労せずに正解を出せたのではないかと思います。
しかし、ことはそう単純ではありません。おそらく3分の2程度の受験生は、特に⑵や⑶に戸惑ったのではないでしょうか。どこから手を付けたらいいのか、何通りもある手順を全部調べないといけないのかなどなど。
ですが、ここで「センス」や「経験値」が役立ちます。
これまで、たくさんの入試問題やその他の演習問題に取り組んできた受験生なら、これと同類の問題を目にしたことがあるはずです。数に対して特別なセンスを持ち合わせていなくても、こういった経験値は役立ったはずです。
類題もやっておきましょう
次のような計算の規則があります。
規則1:数が1未満なら2倍する。
規則2:数が1以上なら1をひく。
この規則にしたがってある数を次々と計算し, その結果を記録していきます。例えば22/7に対し、この計算を4回行うと
22/7→15/7→8/7→1/7→2/7
と5個の数が記録されます。
次の⑴~⑶の問いに答えなさい。
⑴ 1/5からはじめて6回計算を行ったときの記録を書きなさい。
⑵ 1/5からはじめて2002回計算を行ったときに記録されている「2003個目の数」と「2003個の数の和」を求めなさい。
⑶ ある数にこの計算を3回行うと 16/9 になりました。ある数として考えられるものをすべて書きなさい。
⑴ 1/5 ⑵ 3/5 1602 ⑶ 2/9,17/18、13/9,26/9,43/9