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土台その1 数に対する感覚

単純な足し算・引き算を繰り返す

そんなことで「数の感覚」は鍛えられるのか?という感じですが、これは「鍛えられる」というしかありません。
感覚をつかむには、ごく単純な、簡単な数で繰り返し練習することです。
2+3=5,7+4=11,…などは「数が増えていく感覚」を、9-3=6,12-8=4などは「数が減っていく感覚」が鍛えられます。

➤ここで取り組んでほしい問題例

◎ 2+3=5,7+6=13,18+4=22など。1けた+1けた,2けた+1けたを「完ぺき」に。
特に、繰り上りはノンストレスでできること。
◎ 8-3=5,13-6=7,21-4=17など。1けた-1けた,2けた-1けたを「完ぺき」に。
特に、繰り下がりはノンストレスでできること。
◎ 5+3=8,8+3=11,11+3=14,…などのように,同じ数をどんどん足していく練習。大きい数から,同じ数をどんどん引いていく練習も合わせてやっていくと効果的です。

繰り返しますが、ややこしい数字でやる必要はありません。1けたどうし、1けたと2けたぐらいでいいので、感覚をつかんできたなと実感できるまで、しつこく練習するのがいいでしょう。
数の感覚というのは、簡単なことを何度も何度も繰り返すことで伸びていきます。

ただし、ここまではあくまで「準備運動」。
このあたりがしっかりできていることが、これからやっていくことの土台の土台になります。くれぐれもここで手を抜かないこと。

数を自由に「合成」したり「分解」したりすること

数を自由に「合成」したり「分解」したりすること、これはハッキリ目に見えるわけではありませんが、今後の算数力に大きな影響を与えていきます。
・あといくつで10になるとか、あといくつで50になるという感覚
・数と数を「組み合わせる」感覚
・数を2つや3つの塊に「分ける」感覚
感覚と書きましたが、これは単純な足し算や引き算ではなく、本能的に持っていてほしいものです。

足し算や引き算ができて安心、ではない

足し算や引き算ができるだけで安心してはいけません。
計算ならできるという子が、簡単な引き算(たとえば54-49など)をひっ算を書いて求めるという場面にはよく遭遇します。
ひっ算を習ったばかりであれば致し方ない気もします。しかも、学校の指導で「きちんとひっ算を書いてやりなさい」という指導も受けているので、いつでも、いつまでも、きちんとひっ算を書く習慣ができているのでしょう。
ですが、ひっ算というのは基本的に「頭を使わない」計算です。

4-9はできないので十の位から1を借りてきて(この表現にも強烈な違和感があって、借りてきたら返さないかんやないか、と突っ込みたくなります(;^_^A)、14-9=5なので、下に5を書き…としていく。

でも、頭の中で数の合成や分解ができる子なら、たとえば1+4=5と瞬時に答えを出せます。
3ケタや4ケタの、繰り下がりがたっぷりあるような計算ならひっ算は強力な武器です。
が、2ケタ同士の計算なんかはわざわざひっ算しなくても答えが出せないといけない、とボクは思っています。

ちなみに、一度お子さんに「1006-998」の計算をさせてみてください。いきなり「ひっ算を書く」ことからスタートする子は要注意です。

いきなりひっ算を書き始めず、数字をよく見て暗算で求めるような子は、今後の算数に期待できます。
ふだんから「数の合成・分解」になじんでおくというのが大切でしょう。

土台その2 図形に対する感覚

「図形をイメージする」ことを重視する

「図形分野」で扱う内容は多岐にわたります。
平面図形では「角度を求める」,「面積を求める」といった基本的なものから、「相似を利用する」,「辺の比を使って様々な問題に対処する」などの応用問題まで対象です。入試問題では、こういった事柄が複合的に絡み合った問題が出題されます。
また、立体図形では、体積・容積や表面積を求められるようになるだけでなく、これに付随した切断や回転体、水量や深さの変化に絡む問題などが扱われます。

低学年のうちは特に「図形に対するをイメージ力」が重要

こういった問題に対処する前提として、低学年のうちに取り組んでおいていただきたいことは、「図形をイメージする力や図形に関するセンスを養う」ことです。
簡単なことではありません。平面図形でも、たとえばそれを折り返したり、回転させたりするととたんにできなくなってしまう子供はたくさんいます。ましてや、立体図形を切断したり、複雑に入り組んだ容器に水を入れたりするとなると、もうお手上げです。
ですが、難関校の入試に対応するには、こういった状況でもある程度「図形をイメージする力」は要求されますから、避けて通ることはできません。

図形をしっかり見て形の特徴を把握する

これに対応するために「図形のセンス」を磨けとはよく言われることです。
「図形のセンス」とは、平たく言えば「感覚的に図形の特徴を把握する力」のことです。
この力を伸ばしていくために、まず身につけてほしいのは、「図形を『しっかり見る』習慣」です。大人でもそうですが、人は意外と物の形をしっかり見ていないのです。普段よく目にしているものであっても、いざそれを絵に描くように言われたら、細部まで正確に描くのはなかなか難しいでしょう。
そこでまずやってほしいのは、「形の特徴を把握する」練習です。

❑平面図形

最初は正方形や長方形、正三角形、二等辺三角形など、簡単な平面図形の特徴をしっかり踏まえたうえで自分で描いてみる。
また、基本的な三角形を組み合わせたらどんな形ができるのか、合同な三角形のパネルを何枚か用意して実際にいろいろ作業してみる。長方形や三角形を折り曲げたら形がどう変化するか、もとの形とくらべて何がどうなるのか、実際に作業して確かめていく。そういった実際の経験、作業の積み重ねの上にイメージする力は養われていくのです。

❑立体図形

立体図形でも作業は重要です。
立方体や直方体などの多面体の展開図を用意し、実際に組み立ててみる。そのとき元の展開図の辺はどうなったか、頂点はどんなふうに集まったかをいちいち確認します。
また、立体の切断も切り方によって切り口の形が変わることなど、経験していないと実感しづらいことも実際にやってみる。そして、そういった作業で終わるのではなく、とにかくよく観察することが大切です。
さらに、その観察で分かったことを踏まえて見取り図を描くというのも役に立っていきます。

➤図形のセンスを磨く

意図的にそういう機会をつくることで、「しっかり見る」という習慣が身についてくれば、イメージできなかったことが徐々に形を結んできます。また、「しっかり見る」ことを通じて、図形の細かな特徴にも目が行くようになります。
教材に書かれたことをそのままうのみにすることなく、こういった作業を通じて得たことを、自分の経験に落とし込んでいくことができれば、自然と「図形のセンス」は磨かれていきます。

土台その3 文章の問題に対応する

文章から条件を読み取る

➤条件に気付く

算数の問題というのは、単純な計算の問題を除けば、当たり前ですが、すべて文章による問いかけになっています。そして、そこには様々な条件が設定されています。
そこで子供は、与えられた問題文から条件を読み取り、その条件を何らかの形で整理して、条件すべてに合う答えを求めないといけません。
つるかめ算や過不足算といった「特殊文章題」だけでなく、足す,引く,かける,割る,といった、大人からすれば明白な、計算を1回すれば答えが求められるような問題でも、子供からすると立派な条件になり、乗り越えないといけない壁になるのです。
こういった条件に「気づく」ことで初めて文章問題に切り込むことができるのです。

➤気づいた条件を視覚化して「考える」

しかし、例えば同じ引き算を使う条件設定でも、それに対する設問は幾通りもあります。
・太郎と花子の持っている個数の違いを求めなさい。(2つの「別のもの」をくらべる)
・太郎が〇個食べると残りは何個ですか。〇個残ったとき、食べたのは何個ですか。(1つのものの増減をくらべる)
個数など、目で見てくらべやすいものをくらべる場合だけではありません。
・昨日の最高気温は19度で、今日は23度です。何度上がりましたか。(しかも「増えている」のに引き算を使う)
大人の目からは「どれも引き算じゃない!!」と分かる、わかって当然なのですが、子供、特に小学校の低学年だとなかなかそう簡単にはいきません。
そこで大切になってくるのが問題の設定の視覚化です。(つまり、ここでもイメージを求められている)
実際にりんごの絵を、個数分描いてみる、温度計を2つならべて描いて考えるなど、イメージしやすいものを入口にして、「引き算をする場面」を実際に想像し、紙に書き起こし、それを見ながら考える、そういった再現力が、この先複雑な問題を解いていくうえで大きな助けになっていきます。
ここでは「引き算」を例に考えましたが、かけ算や割り算でも、そういった再現力、イメージする力は同じように、またはそれ以上に要求されます。
大人がひとことで「これ引き算でしょ」「これ割り算ね」などと言ってしまえば子供のイメージする力はそこで終了。その先へは決して進まないでしょう。

➤立式はしなくてよい

また、大人は「立式する」ことが重要と考えてしまいがちです。数学などを勉強したら、式が書かれていないと答えがあっていても正解扱いしてくれないことを分かっていますから。
でも、算数では立式は不要です。
たとえば、「私が朝学校に行くときにみかんは10個ありました。その日学校から帰るとみかんは7個になっていました。何個減りましたか。」
10-7=3で、3個減った、でもちろんいいのですが、これを次のように考える子がいたらいかがでしょう。
7+1=8個、8+1=9個、9+1=10個
最初の1個はお母さんが食べて、次の1個はおばあちゃんが食べて、あと1個はまたお母さんが食べたんだ。だから1+1+1=3個
確かに稚拙な考え方です。ですが何もヒントをもらわずこれを考えたのなら、その答案には💮(花丸)をあげたい。
その子は「状況を正確に把握」し、「場面をしっかりイメージして」問題に対しているからです。
式が作れたから問題が解けるのではなく、状況把握とイメージができたからこそ、正解が導けた。それが今後の算数力の伸びに必ずつながっていきます。
条件設定 → 状況把握 → 場面を生き生きとイメージする
文章問題は、この流れを考えて取り組めばいいのではないでしょうか。

➤考える力を育てる

算数において、 “考える” ということを「与えられた条件に合う事柄を見つけ、それがほかの条件を満たしているかどうか一つ一つ精査して、すべての条件を満たす事柄を見つけ出す作業」だとします。
この場合、必要な作業は次の通りです。
・問題に書かれていることから条件を探し出す(列挙する)。
・条件に合う候補を探す。
・その候補がすべての条件を満たしているか確認する。
単純に問題に書かれた1つの条件に合った項目を書き出す練習、ある項目がそこに書かれた条件合致にするかどうか調べる練習、条件に合うものと合わないものを分類する練習、条件に合わないものを考える練習などを意識的に行うことで、“考える力”は鍛えられていきます。

➤文章題は「あてはめて解く」

小学校の、特に低学年では、文章題は「条件に当てはまる数値を求める」問題だと理解してかまいません。
塾に通っていたら、線分図の描き方を習うなど、その問題を解くのに「最適・最短」な方法を習います。
しかし、低学年の間は特に、そういったやり方に固執する必要はありません。というか、むしろ邪魔です。
自由に発想し、あてはめ、条件に合う数値にたどり着く、そういう道筋をたどった方が、実は後々の算数力は鍛えられます。
うまい解き方を習ってそれを使って問題を解く、というのは、時間に追われた最近の小学生(だけでなく親にとっても)には魅力的に映ります。ですが、それらは文章題の本質ではありません。
そもそも文章題は「条件にあてはまる数値を探す」ものであり、いわば「数あてクイズ」です。
文章題を解くための本当の第一歩は、まずあてはまる数を探す、つまり「あてはめていく」ことなのです。
実際に数値をあてはめて、それが問題の条件に合うかどうかを確認することは、条件を理解する力や、数値同士の関係を把握する力にもつながります。それらの力こそ、文章題を解いていく力の基盤となるものです。

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