2026年度の東大寺学園中・算数はこう対処!難易度分析と合格への戦略
2026年度の東大寺学園中学校の入試が終了しました。受験生の皆さん、本当にお疲れ様でした。 今年の算数は、合格者平均や満点者の数を見ても、東大寺らしい「思考力と作業力のバランス」が問われる内容でした。
まずは判明しているデータから見ていきましょう。
2026年度 算数入試データ
- 平均点: 54.7点 / 100点
- 満点者: 6名
- 合格最低点(4科目): 244点 / 400点(約6割)
算数で**6割(60点)**を確保できれば、合格圏内に大きく近づける展開でした。
2026年度 難易度・目標レベル一覧表
各問題の難易度をA(基本)、B(応用)、C(発展)で、目標レベルを◎〜■で分類しました。
| 大問 | 分野 | 難易度 | 目標 | 講師の一言 |
| 1(1) | 計算 | A | ◎ | 絶対に落とせない。 |
| 1(2) | 工夫する計算 | A | ◎ | 工夫して時間を浮かせたい。 |
| 1(3) | 場合の数 | B | △ | 地道な数え上げ。粘り強さが必要。 |
| 1(4) | 平面図形(面積) | A | ○ | 落ち着いて面積の和を求める。 |
| 2 | 旅人算 | B | ◎〜○ | ダイヤグラムで一気に整理。 |
| 3 | 数と規則性 | B | ◎〜○ | 書き出しから「20個周期」に気づけるか。 |
| 4 | 平面図形(比) | B〜C | ○〜△ | 補助線一本で視界が開けるか。 |
| 5 | 食塩水(てんびん) | B | ○〜△ | 東大寺らしい、対話型の問題。 |
各問のポイント・注目の一題
【大問1】小問集合:(2)の工夫と(3)の粘り
大問1から気の抜けない問題が並びます。特に(2)は工夫のしがいがある問題。
(2) 326×▢+327×0.11+328×0.12+329×0.13=330
全てを326を基準にした形 (326+n) に分解することで、計算を劇的に簡略化できます。こういった「数の感覚」が東大寺攻略の第一歩です。
大問1⑵の解説
工夫をするとすれば次のような式になります。
326×▢+(326+1)×0.11+(326+2)×0.12+(326+3)×0.13=330
326×(□+0.11+0.12+0.13)+1×0.11+2×0.12+3×0.13=330
(3)の場合の数は、条件「同じ数字が隣り合わない」をどう整理するかが鍵。 「3」の場所を固定してから「2」を配置するなど、自分なりの整理術(アルゴリズム)を持っているかが問われました。
大問1⑶の問題と解説
(実際の問題)1,1,1,2,2,2,3の7つの数字をならべてできる7けたの数のうち、1212123のように、同じ数字が隣り合わないものは何個ありますか。
数えるにしても、少し工夫が必要でしょう。
例えば、△ア1△イ1△ウ1△エのア~エの△に「2,2,2,3」を同じ数字が隣り合わないように入れる方法を考えればいい。ア~エすべて使う場合は(ア,イ,ウ,エ)を(2,2,2,3),(2,2,3,2),(2,3,2,2),(3,2,2,2)と入れて4通り、(ア,イ,ウ)と(イ,ウ,エ)を使う場合はそれぞれ(2,2,2と3),(2,2と3,2),(2と3,2,2)でそれぞれ2と3の入れ替えが可なので、3×2×2=12通り、最後に(イ,ウ)に(2,2と3と2),(2と3と2,2)の2通り。これを合計する。
【大問2】ウサギとカメの旅人算(ダイヤグラム推奨)
定番の物語をベースにした問題ですが、折り返し地点があるため、線分図よりもダイヤグラムの方が状況を可視化しやすいでしょう。ウサギの20分休憩をどう処理するかがポイントです。
大問2の問題
ウサギとカメがまっすぐな道で競走しました。A地点をスタートして、B地点を経由し、C地点で折り返したあと同じ道をもどり、B地点をゴールとするコースです。ウサギとカメは同時にスタートしました。ウサギはB地点で20分間休憩しましたが、カメは休憩せず、ウサギの休憩中にB地点を通過しました。ウサギがC地点を折り返したのは、カメがC地点を折り返した4分30秒後で、ウサギがゴールに着いたのは、カメがゴールに着いた1分30秒後でした。ウサギとカメはそれぞれ一定の速さで走るものとして、次の問いに答えなさい。
⑴ ウサギがB地点を出発したのは、カメがB地点を通過した何分何秒後ですか。
⑵ もしウサギがB地点で休憩しなかったとすると、カメがC地点を折り返したのはウサギがC地点を折り返した何分何秒後だったでしょうか。
⑶ A地点からB地点までの距離とB地点からC地点までの距離の比を、最も簡単な整数の比で求めなさい。
大問2のダイヤグラム

大問2の簡単な解説
状況図(線分図)を描いても解けるでしょうが、ボクはダイヤグラムで考えました。
⑴はB~Cでウサギがカメより3分早く進むことを考えると楽勝。(A・◎)
⑵もダイヤグラムから簡単に分かります。(A・◎)
⑶もAB間でかかる時間の差とBC間でかかる時間の差を考えると解けるでしょう。
【大問3】整数の和の一の位
書き出して調べてみたら「規則性」に気付けるはず。それを使えば、正答にたどり着けるはず。
大問3の問題
Aを1以上の整数とします。1からAまでのすべての整数の和の一の位を〈A〉とします。たとえば、1+2+3+4+5=15なので、〈5〉=5です。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ 〈A〉のとりうる値を小さい順にすべて答えなさい。
⑵ Aを1から80までの整数とするとき、〈A〉=3となるようなAを小さい順にすべて答えなさい。
⑶ Aを1から250までの整数とするとき、〈A〉=5となるようなAについて考えます。
① このようなAは全部で何個ありますか。
② このようなAをすべて足すといくらになりますか。
大問3の解説
⑴ とにかく書き出して調べてみよう。(A・◎)
⑵ この場合の規則性は「くり返し」が基本にあるので、それをもとに考えるといい。東大寺受験生なら正答してほしい問題。(A・◎)
⑶ 同じくくり返しをもとに考える。等差数列の和が利用できる。ただ、計算はやや面倒なので、慎重に。(B・○)
【大問4】平面図形:辺の比と面積
平行四辺形と三角形の重なり。東大寺が好む「比の合成」や「補助線」のセンスが問われます。 特に関係性が見えにくい(3)では、「平行線を利用した等積変形」の視点が持てるかどうかで、正答へのスピードが変わります。
大問4の問題
(実際の問題)下の図のように、平行四辺形ABCDと三角形PBCがあり、辺ADと辺PBの交点をQ、辺ADと辺PCの交点をRとします。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ 三角形PQRの面積が8cm2,三角形PRDの面積が5cm2,三角形CDRの面積が5cm2であるとき、台形QBCRの面積を求めなさい。
⑵ 三角形PAQの面積が4cm2,三角形PRDの面積が3cm2,三角形CDRの面積が6cm2であるとき、台形ABCRの面積を求めなさい。
⑶ 三角形PABの面積が6cm2,三角形PCDの面積が4cm2,三角形CQRの面積が3cm2であるとき、三角形PQRの面積を求めなさい。
大問4の図

大問4の解説
⑴はPRとRCの長さの比が1:1と分かるので、QR:BC=1:2。これを利用すれば簡単です。
⑵はAQ:RD=4:3,PR:RC=1:2と分かります。
QR:BC=1:3となるので、AQ=4,RD=3,QR=①,BC=③とすれば、
4+①+3=③より、QR=①=3.5
これでAQ:QR:RDが分かるので解けますね。
⑶ PからABに平行な補助線を引きましょう。BCとの交点をEとでもすると…
三角形PAB=三角形EAB=6cm2,三角形PCD=三角形ECD=4cm2,ということは、
平行四辺形ABCDの面積の半分が6+4=10cm2と分かります。
ここから、QR:BCも分かるので、すぐに答えは出ます。
【大問5】食塩水:てんびん図の活用
「濃さの和・差」という独特な表現がありますが、惑わされてはいけません。 普段からてんびん法で視覚的に解いている受験生にとっては、状況が整理しやすかったはず。回数を重ねるごとに変化する様子を、規則性として捉えられるかが勝負を分けました。
大問5の実際の問題
(実際の問題)
食塩水A,Bと容器Xがあります。食塩水Aの濃度は、食塩水Bの濃度より低いものとします。はじめ、容器Xは空になっています。まず、容器Xに食塩水Bを100g入れました。その後、次の操作を何度も繰り返します。
〔操作〕食塩水Xに食塩水Aを100g入れてよくかき混ぜ、容器X内の食塩水の濃度を記録する。
つまり、1回目の記録が書かれたときには容器Xに200gの食塩水があり、2回目の記録が書かれたときには容器Xに300gの食塩水がある、ということになります。
1回目と2回目に記録した濃度の差は2%でした。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、たとえば、濃度が8%の食塩水と濃度が9%の食塩水について、濃度の和は8+9=17なので17%とし、濃度の差は9-8=1なので1%とします。
⑴ 食塩水Aと食塩水Bの濃度の差は何%ですか。
⑵ さらに、2回目と3回目に記録した濃度の和は27%でした。
① 食塩水Bの濃度は何%ですか。
② 2回目と3回目の記録の濃度の和である27%は、他のある2回分の記録の濃度の和と等しくなっていました。それは何回目と何回目の記録の和ですか。2回目と3回目の組み合わせ以外で答えなさい。ただし、連続した回とは限りません。
③ 2回目と3回目と4回目の記録の濃度の和は、他のある3回分の記録の濃度の和と等しくなっていました。それは何回目と何回目と何回目の記録の和ですか。2回目と3回目と4回目の組み合わせ以外で考えられるものが2通りあるので、どちらも答えなさい。ただし、答えは連続した回とは限りません。
大問5の解説
決まった量の食塩水が入った容器に、それとは違う食塩水を少しずつ入れていき、濃さの変化を調べていく問題といっていいでしょう。
「濃さの和」とか「濃さの差」といった言葉が出てきて戸惑うかもしれませんが、食塩水の問題を「てんびん」を使うやり方で慣れている受験生にとっては、比較的取り組みやすく感じると思います。
⑴はてんびんさえ描ければすぐに答えは出せるでしょう。
⑵① ⑴の図の下に同じ幅でてんびんを2個描けばいいでしょう。
②③ 少し面倒ですが、1回、2回、3回、…と調べておきましょう。その中から条件に合うものを探します。
来年度に向けた「東大寺対策」の教訓
- 「力づく」と「工夫」の使い分け: 大問1(2)のように、工夫すれば一瞬、できなくても力づくで解ける問題が出ます。まずは工夫を探し、見つからなければ泥臭く解く、その判断力が重要です。
- 規則性は「書き出し」から見つける: 大問3のように、最初から公式を探すのではなく、まずは手を動かして周期性を見つける。この「作業をいとわない姿勢」が東大寺合格には不可欠です。
- 図形は「比」を徹底的に: 辺の比から面積比へ。複雑な図形の中でも「相似」や「高さ共通の三角形」を瞬時に見抜く訓練を積みましょう。

【お知らせ:算国オンライン個別指導塾「究学」】
「解き方」を覚える子から、「考え方」を創る子へ。
今回の東大寺の問題のように、条件を読み解き、根気よく調べ上げる力は「本質的な思考の土台」があってこそ発揮されます。究学では、算数と国語の「なぜ?」を大切にし、中学受験のその先まで伸び続ける知性を育てます。


